異国日記(仮)

シンガポール生活とか読んだ漫画とかなんだかんだこまごましたことを

違国日記の話をさせてくれ

 ご無沙汰しておりますマルシアです…1か月放置するとはてなブログから「書かないの?」ってメールくるんですね、知らなかったよ…。

 世間ではコロナウイルスの話題が熱いですね。当地でもめちゃくちゃ報道されてるしいろんなところで体温測られるし消毒液もそこここに置いてあります。が、当ブログは基本的に生活お役立ちブログ☆ではないので、そのあたりご了承のうえ続きをお読みいただけますと幸甚です。

 

 さてさて。当ブログタイトルは漫画読み界隈では有名な作品「違国日記」(ヤマシタトモコ著)からパクらせて…いやいやもじらせていただいてます。当ブログは異国で書く日記みたいなもんですから。それでですね、漫画のほうの「違国日記」の話がしたいんです。わたし好きなんですよこの漫画がとにかく。布教したいんですよ。日常的に漫画読まない人にも伝えたいんですよ。

 

 そんなわけで聞いてください、マルシアによる「違国日記」布教文です。

 

①基礎情報

 著者:ヤマシタトモコ

 掲載誌:FEEL YOUNG祥伝社

 単行本:既刊5巻(2020年2月現在、以下続刊)

 

②雑なあらすじ

 孤独を愛する小説家・槙生(35歳独身女性)が両親(槙生の姉夫婦)を事故で亡くした姪の朝(15歳)を引き取ったことから始まった同居生活を描いた物語です。

 

③注目ポイント

〇他人と分かり合うことの難しさ

 まあこの作品に限らずヤマシタ作品では頻出のテーマだと思ってるんですが、
 「あなたの気持ちはあなたのもの、わたしの気持ちはわたしのもの」
 「それは混ざり合わない」
 「しかし歩み寄れる」
 といった旨の言葉が多く出てきます。
 わたしとあなたは違う人間なんだから同じものを見ても感じ方はそれぞれ。違う感じ方をすることは当たり前のことで責められることではない。しかしたとえば家族が一緒に暮らすうえで、友人として付き合ううえで、恋人として過ごすうえでお互いを思い歩みよりいい塩梅を模索することはできる。…ということですね。
 ほんとそれな。
 槙生とざっくり言えば同世代のわたしには首がもげるほど頷くしかないです。すごく大事で長く一緒にいる夫であっても、わたしと全く同じ思考になるはずはないし、それを「なんで自分と同じじゃないの!?」とか責められても困るもん…。
 本作ではまだ子供といっていい年齢の朝に対して槙生が諭すような場面が多いですが、槙生自身も大人とは言え人間関係には苦手意識を強く持っており、一読者としては「なんだかんだみんな悩んでるんだよなあ」と共感とともになんだか安心させられます。

〇友人たちとの友情

 槙生には中高一貫校で出会った友人たちがいます。槙生は大人になってからでも、むしろ大人になってからのほうが気の合う友人ができるとも言いますが、古い友人たちについては「他ではかえがきかない」と表現します。その友人たちとはべったり仲良しという関係ではなさそうですが、友人たちは新生活に戸惑っている槙生に対して、時としてハッとしたり背中を押したり安堵させたりするような言葉を投げかけます。

 いいよねえそういう友情。

 30代になると自分以外のことで忙しくなることもありますよね。結婚したり子供がいたりする人はもちろん、そろそろ自分の親だって心配になってくるし、仕事だってそれなりの立場だったりしてまあとにかく「自分のことだけやっていればいい」という状況ではなくなってきます。そんなときに精神的に裸になれるというか、気を張らなくていいというか、一緒にいるときに「ちゃんとした大人」をやらなくてもいい関係の友人って貴重だなあと思うのです。別に子供のころに出会ってなくてもいいのです。この人の前では泣いても大丈夫、バカなこと言っても大丈夫…という友人関係。いいよねえそういう友情(大事だから2回言う)。

〇孤独と向き合うこと

 タイトルにも含まれますが「日記」が本作の重要アイテムとなります。物語の序盤、槙生は混乱の中にいる朝に対して日記を書くことを勧めるのですが、朝の日記は、書こうとすると「ぽつーん」としてしまい結局言葉ではなく小さく砂漠の絵を描いて始まります。朝は「ぽつーん」を砂漠で表現しましたが、槙生は「『ぽつーん』は きっと『孤独』だね」と言います。

 なるほど。孤独。

 15歳の子供である朝が初めて意識した孤独。孤独とは多かれ少なかれ/遅かれ早かれ誰にでも訪れるものだと思いますが、事故で両親を一度に亡くした朝にはあまりにも大きくあまりにも突然襲ってきた孤独だったことでしょう。そりゃ正体不明で茫然としちゃいますよね…。きっとこの日記は朝が孤独を理解しうまく付き合っていくための大事なツールになっていくんでしょうね。

 本作で重要となる日記はこれだけではありません。朝の両親の遺品整理中、朝の母親(=槙生の姉、実里)が朝宛に綴った手紙のような日記が見つかるのですが、朝がこの日記の存在を知ることが両親の死を受け入れ始めるきっかけとなります。また、槙生は実里の日記に関連して「書くのはとても孤独な作業」と言うのですが…考えたこともなかったぜそんなこと(まあわたしにはそもそも日記を書く習慣がないんだけれども!)。考えてみたら確かに日記なり手紙なりを書くということは、その時々の出来事や自分が感じたことを振り返ったうえで何を書くのか書かないのか取捨選択していくというとても個人的で内省的な作業から始まりますよね…実里の日記は、朝に向けたものであると同時に実里自身が自分の中に渦巻くあれこれままならないものを消化するのに必要なものだったのだろうと推察しています。日記、わたしもつけてみようかしら…いややっぱり続かないだろうから止めとこ。

 

④私的な注目ポイント

  ここまでは一般的な見どころをお伝えしたわけですが、個人的にめちゃくちゃ注目していることもそっと発表させてください。

 槙生の元彼・現友人の笠町がとても好みなんですよね。

 笠町はいわゆるイケメンには描かれてないですが、いい男なんですよ…。ガタイがよくて鼻筋とかあごのラインがはっきりしていて短髪で大型犬(バーニーズマウンテンドッグ)っぽくて温厚でマメで知的なんだよ?そんなん好きじゃないですか当たり前じゃないですか。なんで槙生は友人のままにしておくのよ…と思うあまり、ヤマシタトモコ先生にサイン会でお会いした時にも「笠町が好きです、槙生が要らないならわたしにください」と言って苦笑いされるくらいには好きです。単行本4巻のラストとかやばいですよマジで。

 と力説したところで刺さらない人には刺さらないんですよね知ってる…でももし違国日記を読まれる際は!ぜひとも!笠町を!!よろしくお願いします(お前誰だよ)!!

 

 ふーーー、こんなもんでしょうか。なんだか散らかってますが今日のところはこの辺で勘弁しておいてやるよ(だからお前誰だって)!またな!