異国日記(仮)

シンガポール生活とか読んだ漫画とかなんだかんだこまごましたことを

カレー沢薫「ひとりでしにたい」

こんにちは毎度どうもマルシアです。

東京近郊は外出自粛を要請されているそうですね、当地も次の火曜からEssentialな仕事以外は職場が閉鎖、外食もテイクアウト(当地流にいえばtake away)とデリバリーのみになります。学校も水曜からオンラインになるんだったかな。交通機関は営業するみたいですが、食品や日用品を扱うお店以外は閉めるようですし、娯楽施設は先行して閉めているので実質的に買い出し以外の外出はできません。公園は閉鎖しないようですが、ここで運動する際にもSocial Distanceをとるよう求められてますし…。当面家族以外と直接顔を見て話すことがなくなりそうです。

まあご存知のとおりわたし自身はインドア派(と言えば聞こえがいい引きこもり偽無職)なのであまり困ってませんが…みなさまお元気ですか?

日本では家にいてやることなくて困ってるー、暇だー、という人のために名作漫画が◯巻まで無料!とか期間限定でアニメ無料配信!とか色々やってますよね。ありがたいことですよね。わたしは「好きなものにはお金を払いたいオタク」なので無料のあれこれに手を広げる前に既に金を出して買って積んでる諸々を消化しないといけないんですけれど…横山三国志59巻まで無料でしたっけ…アレはちょっと読みたい…と思ってたんですけどもう終わっちゃったのね、うっかりしておった…

気を取り直して。

普通の漫画の単行本でお勧めしたいのがあるのですよ。無料のじゃなくて普通に買って読むやつね。なんなら作家さん的には「買えば読まなくてもいい」「買って燃やしてまた買え」「電子書籍だったら買ってアカウント消してまた買え」とのことですので安心してお金を払っていいやつです。

それがタイトルにあげた漫画、カレー沢薫「ひとりでしにたい」です。

…あ、たぶん「?」ってなってる方いますよね。漫画よく読む人ならご存知の方も多いはずですが当ブログへお越しの方には漫画読まない人も一定数いらっしゃると思うので…

カレー沢薫」は作家名です。「かれーざわ・かおる」さんです。1982年生まれの作家兼無職。わたしと同い年!!

「ひとりでしにたい」は作品名です。不穏!でも大丈夫、ギャグ風味社会派漫画(猫がかわいい)です!

書影はこちら。書影も不穏!

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主人公は学芸員の山口鳴海35歳独身、自立したカッコいい女性だと思っていた伯母さんの孤独死をきっかけに婚活…じゃなくて終活を始めるお話です。

まだ物語は序盤ですが、これでもかっていうほど現代人の業とか病とか格差が散りばめられてましてね、キーワードとしては孤独死、母と伯母のマウンティング合戦(及び役立たずの父)、奨学金、経済格差、老後破産、子供部屋おばさん…やばい字面からしてもう暗いし辛い。

えーでも孤独死とかって独身の人が心配すればいいでしょ、わたし結婚して子供もいるから安泰だわ…なんて思ってる人居ませんか?

そんなスイートな考えは今すぐ尿あるいは便と一緒にトイレに流してきた方がいいです。

考えてみなはれ、配偶者と一緒に死ねることなんて交通事故以外では激レアさんです。夫婦どちらかは後に残りますよね。子供?将来老いた自分と子供世帯が同居で面倒みてくれる可能性ってまあそんなにないでしょうね。ということは。老後はひとり暮らし…と想定して備えておいたほうが手堅いでしょう。はらたいらに3000点ですよ。

そんな訳で鳴海の終活は令和のアラフォーたるわたしたちにとって他人事じゃありません。

単行本の帯にはこうあります。「一人でよりよく死ぬために、一人でよりよく生きたい。」

ほんとマジでそれなですよ。

自分の人生、有終の美…ってほど良いものじゃなくていい、死んで汁にはなりたくない!少しでもベターな最期のためには他でもない自分の力でよりよく生きなきゃダメですよね。

そんなわけで本作は

①鳴海がよりよく生きるために奮闘する姿

孤独死回避のためのお役立ち情報

③猫はかわいい

この3点をぎゅっと詰め込んでギャグをのっけた仕上がりです。重いテーマですが軽く読めて役に立つ。現代人必携の書だと思いますんで「あれ、わたし大丈夫かな」と思ったそこのあなた、是非買って読みましょう。買って読みましょう(大事なことだから二度言う)。

 

余談ですがカレー沢先生は漫画だけじゃなくコラムも切れ味抜群です。ウェブでの連載も多数ありますので気になった方はチラッと読んでいただけますと(そして書籍を買っていただけますと)幸甚です。

どうぞよろしくお願いいたします。